フロックではない強さ
今年の日本のプロ野球は面白い。
セ・リーグもパ・リーグも、誰が今のような状況を予想できただろうか。
広島に厳しい連敗をしてきてチームの雰囲気がよくはなかった巨人が先制、中押しと順調に得点を重ねる。
盛り返したDeNAが1点を返した直後、アンダーソンがホームランで流れを渡さない。
これまでの巨人であればあとは押し切るだけだったはずである。
ところが、今のDeNAは違った。
先発ポレダの失速を叩いて1点差まで詰め寄る。流れが傾き始める。
巨人の攻撃の流れを守備で断ち切れたのが驚きだった。
送りバントを簡単には成功させないリードで三振ゲッツーを奪い、好調の橋本に打たれても、的確な守備位置で片岡に続かせない。
そしてその井手が試合を決めた。好調ではないとはいえ、山口を打ち切っての逆転。
これはひょっとするとこのまま行ってしまうのではないか。
そう予感させる終盤の強さを見た。
4月半ばの連敗で、やはりDeNAはここまでかと思ったが、4月後半からチーム状態がぐっとよくなってきた。
中継ぎ、抑えがきっちり揃い、筒香が打率を上げて試合を決める。
するとチーム全体の打線が繋がり出す。
これは中畑監督の選手の使い方のうまさを認めるしかない。
今年のDeNAは積み重ねてきたものが花開いて、文句なし強いチームとなっている。
しかし、セ・リーグは現時点でもまだ接戦である。
首位と最下位まではまだ5.5ゲーム差。接戦具合はチーム成績にも表れている。
今年のセ・リーグは基本的に守り勝つ、投手優勢の状況。
阪神を除く5チームが得失点差でプラス。
その中でチャンスを得点に繋げているチームが上位に来ている。
DeNAは失点数こそ多いが、チーム打率、ホームラン、盗塁が多く、得点数は2番手中日よりも20点も多い。
今後を占うのは先発がしっかりすることだろうか。3勝投手が3人いるが、モスコーソは離脱。
井納、久保が調子を上げ、三浦含めた控えの先発投手陣が勝ち出したら止められなくなりそうだ。
巨人は今一度チームのあり方を考え直してほしい。
主力選手の故障離脱で難しいのはわかっているが、原野球は守って走って勝つ野球のはずだ。
ホームランを求めて、走守を疎かにしてはいけない。フロントがそれを理解しているのか疑問である。
広島は巨人との3連勝で打線が復活したとすれば、一気に上位進出も見えてくる。
問題はチーム状態を改善できない阪神。今は打てないし、守れない状態。
状態ひとつでいかようにもひっくり返りそうなセ・リーグだが、このままでは1チーム置いて行かれてしまう可能性すらある。
一方、パ・リーグはきれいに上位3チーム、下位3チームに分かれてしまった。
しかも、得失点差プラスのチームが上位、マイナスのチームが下位とデータ通り当たり前の結果としてである。
これを覆すのはもう簡単ではないかもしれない。
西武は絶好調の1番秋山がいて、浅村、中村、森と打点を稼げる打者が好調をキープしている。
メヒアが今一つ波に乗れていないが、中村が本調子を取り戻し、森が打者として覚醒してしまっている。
投手力のあるチームの打線が好調であれば、負ける道理がない。
日ハムは大谷、吉川で貯金10!
チームの貯金は8だから、この2人の存在の大きさがよくわかる。負けない先発が2人いるのは、チームにとって大きな力だ。
今月末から始まる交流戦が、今の状況をどうかき混ぜていくだろうか。
交流戦で好調をキープできるかどうかが今年のペナントのカギになるかもしれない。